仕事の関係で高円寺に週に1〜2回は泊まっている。高円寺の街は、もう10数年にわたって観察してきたけれど、最近また変わりようが激しい。「貧乏人の逆襲!」で知られる松本哉たちの「素人の乱」が高円寺北中通り周辺で話題になったし、同じ高円寺北の環七側では「座・高円寺」という劇場が出来て、新たな演劇の拠点つくりが進んでいる。
高円寺南は逆に三浦展いうところの「高円寺新女子街」とまで称されるにいたった。パル商店街からルック商店街といった丸ノ内線新高円寺駅方面への商店街は、古い店が閉店すると、つぎつぎに古着屋がテナントとして入り、週末ともなれば10代女子が千円札にぎりしめて古着屋を徘徊する街に一変する。そうなるとその女子をターゲットにしたカフェや小物屋がふえ、あろうことか、いつつぶれるか分からないぐらい古ぼけていた「三平ストア」まで改装して、新しいスーパーマーケットのようになってしまった。愛川屋のような美味しい魚肉練り物店などがなくなって寂しいが、直接的な生産加工より、リサイクルする商売の形態が思想化した北側でも、女子街化した南側でも鍵を握り、高円寺駅をはさんで相対峙しているのです。
さて、そのルック商店街のなかほどに、周五郎という本格的なケーキ屋さんがある。もともと美味しい自家製ケーキの店として通っていたのだけれど、最近、「ゆめねこ」という猫をかたどった最中を売り出して評判になっている。この最中、味もいいけれど、形が美しい。猫だから贔屓にしているのは言うまでもない(!)ことだけれども、最中というのはその型つくりがたいへんなので、この形はただただ感嘆。いかにも女子街にふさわしいお菓子の登場だけれど、こういうお菓子は西洋菓子にはない。ケーキを買いにいって主人と話をしていたら、最近はネットでも注文が来るそうな。ただし、メールによる問い合わせが煩雑すぎてたいへんなので、直接、お店に行かれるか、さもなければメールは正式な注文に絞ってほしいとのこと。シャッターを下ろした商店が多くなっているのは同じだが、街の勢いという点でみると、高円寺にはまだまだ潜在力がありそうだ。
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