柳田泉・勝本清一郎・猪野謙二: 座談会明治・大正文学史 (1)〜(6)
文学史の古典中の古典。大学院に入る前ぐらいにこれを読んだ。柳田さんや勝本さんの個性にうなり、まとめ役の猪野さんに舌をまいた。40年以上前の本とは思えない。
正宗 白鳥: 自然主義文学盛衰史
自然主義が日本の近代文学の主流を作り上げたのは事実。ではそれはどのようなものだったのか。人物とエピソードから見えてくる日本の自然主義!
伊藤 整: 日本文壇史〈1〉~〈18〉
物語化された文学史。それも「文壇」の史というところが伊藤整らしい。(19)〜(23)は伊藤没後、瀬沼茂樹に書き継がれた。文芸文庫には最終の24巻に総索引もある。
本多 秋五: 物語戦後文学史 (上)〜(下)
戦後文学の当事者による史的あとづけ。やはり物語とあるように読みやすい。それだけに戦後文学に対する見方をしばることにもなった。最近は批判されることが多いが、必読ではある。
井上ひさし・小森陽一: 座談会 昭和文学史〈1〉〜(6)
柳田・勝本・猪野をついだ座談会形式の昭和文学史。文学史はどう書いても批判をまぬがれないものだが、ましてや現代になると。しかし、それでもゲストが豊富で読み応えがある。
前田 愛: 近代読者の成立
読者論の始まりがこれだった。近代文学研究の方向を新たに切り開いた記念碑。まずこれをしっかり読むことから始めよう。
前田 愛: 幻景の明治
近世から近代をまたにかけ、しかも歴史への関心を強くもっていた前田さんの志向がよくあらわれた本。物語を解体するところと、物語好きなところと両方がよく出ている。
亀井 秀雄: 明治文学史
これまでの文学史の書き方自体を批評してしまった文学史。文学はどうしても後知恵でとらえられがちになるのだが、そうした概念や枠組みを洗い出していく。当然ながら知的なアクロバットに近づいていく。
尾崎 秀樹: 大衆文学論
大衆文学研究の始まりは中谷博などもいるが、やはり尾崎秀樹さんだろう。それにしても大衆文学の研究書もたちまちに品切れになり、消えていくのは対象と似ているのだろうか。
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